3-2 舎利礼文(しゃりらいもん)のススメ
舎利礼文(しゃりらいもん)とは大乗仏教の経典類のひとつで、文字数は般若心経(262文字)の三分の一にも足りませんが、そのわずか72文字によって、見事に大乗の宗旨を言い尽くしています。
なお、舎利礼文は、インドの大乗経典には存在しません。唐の高僧であった不空三蔵(705-774)が作ったとも、五胡十六国時代の釈道安(314-385)が作ったともいわれており、日本では古くより、天台・真言・浄土・禅宗などで広く誦まれています。
舎利礼文には、仏を頂礼(ちょうらい)することにより、自らも菩提心を発(おこ)し、衆生を利益(りやく)する、強い決意が述べられています。
出家僧に限らず、凡夫にすぎない私たちも、舎利礼文を誦えることによって、菩薩の請願を立て、菩薩の道を歩み始めることができるのです。
般若心経とセットで、この舎利礼文を誦えることを、おススメします。
舎利礼文(しゃりらいもん)
01 一心頂礼(いっしんんちょうらい)
02 万徳円満(まんとくえんまん)
03 釈迦如来(しゃーかーにょーらい)
04 真身舎利(しんじんしゃーりー)
05 本地法身(ほんじーほっしん)
06 法界塔婆(ほっかいとうばー)
07 我等礼敬(がーとうらいきょう)
08 為我現身(いーがーげんしん)
09 入我我入(にゅうがーがーにゅう)
10 仏加持故(ぶっかーじーこー)
11 我証菩提(がーしょうぼーだい)
12 以仏神力(いーぶつじんりき)
13 利益衆生(りーやくしゅうじょう)
14 発菩提心(ほつぼーだいしん)
15 修菩薩行(しゅーぼーさつぎょう)
16 同入円寂(どうにゅうえんじゃく)
17 平等大智(びょうどうだいちー)
18 今将頂礼(こんじょうちょうらい)
舎利来文(しゃりらいもん)
01 一心頂礼(いっしんんちょうらい)
一心に頂礼したてまつる、
02 万徳円満(まんとくえんまん)
万徳の円満する、
03 釈迦如来(しゃーかーにょーらい)
釈迦如来に。
04 真身舎利(しんじんしゃーりー)
真身(仏の真の姿である)の舎利(仏の遺骨)と、
05 本地法身(ほんじーほっしん)
本地(仏の本来の境地である)の法身(真理を現す仏の本身)と、
06 法界塔婆(ほっかいとうばー)
法界(宇宙の真理そのものである)の塔婆(仏塔)とを、
07 我等礼敬(がーとうらいきょう)
我等が礼敬(らいきょう)するによりて、
08 為我現身(いーがーげんしん)
(仏は)我(ら)が為に現身(この世に出現)したまえる。
09 入我我入(にゅうがーがーにゅう)
(仏が)我に入り、我が(仏に)入るによりて、
10 仏加持故(ぶっかーじーこー)
仏と(我とが)加持する(一体となる)が故に、
11 我証菩提(がーしょうぼーだい)
我は菩提を証(あか)さん。
12 以仏神力(いーぶつじんりき)
仏の神力(仏道の歩みを助ける威神力)を以って、
13 利益衆生(りーやくしゅうじょう)
衆生を利益し(利他行を実践し)、
14 発菩提心(ほつぼーだいしん)
(衆生済度の)菩提心を発(おこ)し、
15 修菩薩行(しゅーぼーさつぎょう)
(六波羅蜜の)菩薩行を修し、
16 同入円寂(どうにゅうえんじゃく)
(衆生と我とが)同じ円寂(の境地)に入らん。
17 平等大智(びょうどうだいちー)
(自他の区別無き)平等の大智に、
18 今将頂礼(こんじょうちょうらい)
今、将(まさ)に頂礼(ちょうらい)したてまつる。